少年は憧れた。   心をつかんで離さない弦音〈ツルネ〉に。   青年は憎んだ。   誰よりも尊敬していたあの人を。   ―あの日、音は聞こえなくなってしまった。   ―あの人は、何も言わずに去ってしまった。   挫折と憎しみ。   痛みを抱えた少年と青年は、弦音に導かれ出会う。   何度苦しむことになっても。どんなに拒まれても。   彼らは弓を取り、矢をつがえる。   <ツルネ>   ―――それは、矢が放たれた時に響く“はじまり”の音。

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